IE9ピン留め
2007年 08月 25日
ビロード
屋上から見える聖イシュトヴァーン大聖堂の陰に潜む夕日が、静かな古い通りや黄土色の古びた家々の屋根を赤く染めていた。夕焼けに見られる光と闇の混合は、楽観と悲観、長調と短調、喜びと悲しみを表現するかのようであった。

人通りの少ない土曜日のひんやりとしたほの暗い静けさの中で、ビロードのような雲が尽きることなく伸び、秋の気配を感じさせていた。

# by anponko | 2007-08-25 04:53 | 自然
2007年 08月 19日
Canoe

オーストリアからハンガリーに流れる川を30kmカヌーで下った。川の水はオーストリアの工場から流れ出る廃棄液による泡がいっぱいだった。その川でカヌーを漕ぎながら、必死に生きようとする魚やザリガニを見た。
鳥の鳴き声と木々が風で揺れる音とカヌーを漕ぐ音と共に時間がゆっくり流れていった。

突然辺りが暗くなり、雷が鳴りはじめ、大雨と雹が身体を撃ってきた。川の両側の木々が倒れ始め、荒れ果てたジャングルの中を泣きそうになりながら必死にカヌーを漕いだ。人間の力では敵わないであろう自然の脅威を感じた。

# by anponko | 2007-08-19 03:46 | 自然
2007年 08月 18日
Ferenciek ter

Ferenciek terのBus 停の横には、薄暗いホールがある。一階に何軒かアンティークショップや本屋が並んでいるが、人影は少ない。あまり目にはつかないが、ホールの床や天井やガラスには細密なデザインや彫刻が彫られている。

ふとしたところに意識を向けると、はっとさせられる建築や光景に出会うことが多い。
誰も気にとめようとしないのはなぜだろうか。


# by anponko | 2007-08-18 03:32 | 美術
2007年 08月 11日
楽器と身体
楽器、特に弦楽器の製作においては、人間の身体のように神秘的な部分や説明不可能な部分が多い。同じ形に見えても、1ミリ以下のずれ、質やバランス、製作者のセンスや個性や性格や技量によってそれが異なった音を生み出していくのだろう。音響的な問題がバイオリン自体とどのように関わっているのか興味があったと言われているアインシュタインでさえ、物理的・数学的な方法論によってバイオリン自体のデザインや構造と音がどのように関連しているのか説明できなかった。
自分のチェロからでる音色は大部分が楽器自体の性質が絡んできているように思われる。その楽器を作った人物やその楽器を弾いてきた演奏家の個性やセンスや性格、人生そのものが楽器自体、そして表現する音に表れるのだろう。もう話すことの出来ない祖父の魂が宿っているであろうチェロを弾きながら、祖父がチェロを弾いていた頃の人生を想像した。

# by anponko | 2007-08-11 05:09 | 音楽
2007年 08月 09日
LANGOS

ハンガリーの伝統的な有名な食べ物に、揚げたパン(LANGOS)がある。揚げたパンににんにくをのせた(fokhagymas Langos)やチーズをのせた(Sajtos Langos)やサワークリームをのせた(tejfolos Langos)など色々な種類がある。Budapestの都市の中よりも、むしろ田舎に行くとLangosのお店を見つけることが多い。
以前、Budapestから北へ19kmのSzentendreという小さな町の中で、細い小道沿いに隠れ家のようにひっそりLangosを作っているお店を見つけた。

Langosはいつ頃誰が作り始めて有名になっていったのだろうか。ハンガリーに来たら一回は食べてみるのもいいかもしれない。


# by anponko | 2007-08-09 07:06 | 生活
2007年 08月 08日
Tihany
ヨットの先端に乗りながら、Tihanyの丘の上に立つ修道院教会が次第に見えてきた。湖からの突風を一身に受けるように堂々と建っていた。


バロック様式のべネディクト派修道院として1055年に創建された教会は1754年に再建され、新しい装飾とフレスコ画で内部は満ちていた。ブダペストのマーチャーシュ教会とは異なり、内部はウィーンにあるような煌びやかな新しい装飾が施されていた。オーストリア出身のSebastian Stohlhofが仕上げたと言われている。教会まで先生と共に登り、地下祭壇裏の聖堂に入った。そこには1060年に亡くなったハンガリー国王アンドラーシュ1世の墓が横たわっていて、その墓の前にハンガリー語最古の文書が掲げられていた。さらに、皇帝カール1世と妻ツィタの写真など多くの歴史的宝物が保存されていた。

教会を出たところから先生と共に見たBalaton湖の美しい景色を一生心の中に大切に閉まっておきたい。

# by anponko | 2007-08-08 06:38 | 文化
2007年 08月 08日
Siofok-Tihany

Siofokのヨットハーバーまで向かうと、Balaton湖の石灰色に近いブルーグリーンの湖水が目の前に広がった。先生が運転するヨットで、バラトン湖に恐竜の頭のように突き出ているTihany半島まで向かった。海外で生まれて初めて乗るヨットからみる景色は、言葉を失うほど美しかった。湖とは思えない広さで、地平線の向こうまで限りなくブルーグリーンの湖と真っ青な空が続いていた。
あたりは静寂に包まれ波の音だけが鳴り響いていた。先生はよく1人でここに来るらしいが、この美しい自然の中からもらうインスピレーションや音楽性や感受性が先生の音楽に表れていると感じた。この湖の真ん中で、世界に一つしかない波の音を聴きながら自然に音楽が頭に浮かんでくるのだろう。練習ばかりの生活ではなく、自然に触れ感受性を高め、精神を豊かにする時間が必要なのだと学んだ。約二時間弱ヨットに揺られながら先生と語った。

# by anponko | 2007-08-08 06:22 | 自然
2007年 08月 08日
Siofok
Balaton湖に面すSiofokという町まで約2時間かけて電車で向かった。バラトン湖南側沿いに17kmに渡る町である。小さな駅で私を待っていてくれた先生と入ったカフェは「Kalman」という名前だった。それは、オペレッタ作曲家であるSiofok出身のKalman Imreからとった名前であることを教えていただいた。駅のまん前にあるベンチにImreは座っていた。

小さな町ではあったが、お店が立ち並ぶKalman Imre通りはハンガリー人とドイツ人の観光客で賑わっていた。

# by anponko | 2007-08-08 06:04 | 音楽
2007年 08月 03日
Ligeti Gyorge
去年亡くなったLigetiは、1923年にトランシルバニア地方の都市トゥルナヴェニで生まれた音楽家である。ブダペスト音楽院で作曲を学びコダーイ・ゾルターン、ヴェレッシュ・シャーンドルにも学んでいた。1956年のハンガリー動乱にさいして、ウィーンに亡命しているが多くの作品を残しているが、彼の無伴奏チェロソナタと1966年に作曲されたチェロコンチェルトは特に興味深い。5月28日にブダペストでHommage a Ligetiというコンサートがあったが、その時にMiklos Perenyiが弾いたLigetiのCello Concertoには衝撃を受けた。ピアニッシモがさらに分かれていくつもあり、音のない音楽が聴こえてきた。


Ligetiの無伴奏ソナタは、1949-1953年に作曲されたものだと言われている。1953年の時点で、CellistのVera Denesのために、5年以上前に書いたソナタのDialogueにもう一つの楽章を加えている。Capriccioは以前作曲したものとはかなり異なり、現代的というだけではなくヴィルティオーゾになっているといえよう。当時、この完成した曲を発表するためには、ソ連国家保安委員会に通ずる公的な作曲家協会に認めてもらわねばならなかったが、すぐに認めてもらえず発表されなかった。この曲が公的に発表されるのはそれから30年後の1983年だったという困難な経過があった。作曲背景を知った上で、演奏解釈の可能性をさらに追求できるだろうか。

# by anponko | 2007-08-03 07:38 | 音楽
2007年 08月 01日
とどまる時間

ドビュッシーのCello sonataやPetite Suiteを弾く時、他の作品とは違った感覚を実感しながら演奏していることに気づく。ドビュッシーの作品を聴くと、「自由な印象を受ける」とか「泡立つ波」「ひらひら舞う葉」「そよぐ風に満ちた海」「ゆっくり動く雲」などを想像するという人が多い。しかし、演奏側はそのような自然の情景の想像を越えた次元で、音楽的な時間の流れを自分で創っていく必要があるだろう。永遠に継続しながらも、一定の刻みではない幻覚に包まれたような感覚を音楽で表現するためには、自己の内部でそれぞれの音をどうとらえ集め、フレーズをどのように歌うのかの音楽的な構成を持たねばならないのではないだろうか。音がまるで不規則に舞ったり、半透明になったり、とどまったり、何回もでてきたりする。その特徴は、日本の音楽にも通ずるところがあるのかもしれない。事実、ドビュッシーは、1889年万国博覧会でアジアの音楽を聴くなど、西洋音楽以外の安南やジャヴァや日本の音楽にも影響を受けて、彼独自の方法で作曲方法を確立している。作品の中で、時間が進まずに停滞したり、急に自由に動きはじめたり、不均等に発達していくような感覚を、演奏技術と感性を使ってどのように表現するか考えている。

# by anponko | 2007-08-01 06:20 | 音楽


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